生活行為向上マネジメント

生活行為向上マネジメントの問題点と改善点について

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 先日生活行為向上マネジメント(MTDLP)の演習に参加してきたので感想をいくつか書きたいと思う。

 作業療法士にとって重要なツールではあるのだが、今後どこまで使えるようになるのかと不安になったので、その改善点も含めて個人的見解を書きたい。

加算の為のものではなく、あくまで目的は作業療法士の頭の中の見える化

 いやいやいや、キレイ事でしょ。加算が取れないならやる意味ないっすよ。現状、デイケアにしか加算が認められていない。

 それが訪問にも、デイサービスにもと広がり、且つ医療にまで加算が認められるようにしていくことを目的にしないなら辞めたほうが良い。

 いきなり過激で申し訳ないが、頭の中の見える化が目的ならこんな面倒なツールは必要ない。

 ビジネスシーンで使われているようなシンプルなものの方がよっぽど見える化できるし、あるいはスキルのある人ならマインドマップとか活用したほうがよっぽど良い。

新版 ザ・マインドマップ(R)

新版 ザ・マインドマップ(R)

 あくまで作業療法士としての専門性を確立し、その専門性に対して加算を勝ち取るつもりでやらないといつまでたっても浸透しないよ。現職者共通研修(新人教育プログラム)に入れたり、学生がレポートをMTDLPベースで作ってきてスーパーバイザーがレポート読めないのではな仕方ない的な無理やりな導入に頼るしか無い。

 これじゃあダメだよね。会員が一致団結して、MTDLPで加算を勝ち取るんだ!MTDLPでボク達の職域を守るんだ!MTDLPこそ作業療法を表現する最たる概念だ!と言いながら試行錯誤し、事例を集積し且つデータ化していかなければこれ以上良いものは生まれてこないと思うよ。

評価者によって結果が変わるのはダメでしょうよ…

 まずは目的の聞き取りからはじめるのだけど、この目標設定によって今後の展開が大きく変わるのはわかるだろう。

 研修中の質問で「当初の目標と1ヶ月後の目標が変わったらどうするんですか?」っていう質問に対して「一旦未達成で処理し、新たにシートを作る…。」っていう返答だった。

 おいおい、まじかよ。って思った。どんだけクライアントに迷惑かけるシートなんだ。

 この質問の答えは「誰が聞き取りしても、必ずクライアントの真の目標を聞き出せるツールにすると共に、養成校を卒業するタイミングで全ての人が同じ水準で聞き取れるように教育してもらいます。既存のセラピストは国家資格の更新という形で必ず面接力向上の研修を受け、試験に合格してもらいます。」的なね?こんなんだったら本気さ伝わるし、いっちょ協力しようか!って思うよね。

 このツールは如何に初回面接でクライアントの真のニーズをつかめるか?ってところがキーになる。これ外したら、そこから数週間、数ヶ月が無駄になる。もちろんリハやってるわけだから全くが無駄ってことはないが、クライアントの貴重な時間をムダにすることになってしまうだろう。

予後予測に関する明確な指標はなし。療法士の勘だのみ

 例えば、生活期のクライアントで1年かけていくつの目標を達成するか?って方なら予後に関して療法士毎で大きな差は出ないだろう。

 だが、急性期や回復期は違う。

 退院までの予後から、1週間後、2週間後の予後予測を極力詳細に行わなければMTDLPは上手く機能しない。

 ボクは回復期は実習でしか経験していないから最近の予後予測事情に関しては疎いけど、どうなの?

 結構明確にできるの?エビデンスはあるの?

 あるならその予後予測が全ての人ができるように仕組み化しないといけないよね。まぁ、そういう動きはあるらしいけどいつになることやら…。

現状で医療に持ち込む意義はあるか?

 国が回復期リハの指標をFIMで行う方向を示しているのだから回復期の療法士にとって重要なのはFIMの点数なのだ。

 いや、もちろん作業療法士としてMTDLPの概念に則った作業選択は重要だと思う。しかし、現実は甘くない。FIMで決まるのだ。

 だから、回復期の作業療法士はセルフケアに追われる。1点でも高い点数を目指して頑張るのだ。

 そこからしか、その先など考えられないのが現状ではないだろうか。そのような現状において医療での作業療法にMTDLPを持ち込む意義はあるのだろうか。

改善の余地はあるか?

 ボクはMTDLP自体は良いツールだと思っている。

 だから、それで加算を取れるようにして、作業療法士が自らMTDLPを深め始めたら、このツールはどんどん深まっていくだろう。

 MTDLPを通じて、どのような作業療法士が担当しても一定以上の結果を提供できるツールとして確立していけば、教育にも役立つし、クライアントへも貢献できる。

 なので、改善すべきは、『療法士による結果の違いが生まれないようにすること』『広い範囲で加算を取れるように動くこと』。

 この2つに対し早急に対処しないかぎり、いつまで経ってもMTDLPの事例は増えてこないのではないかと思う。

まとめ

 作業療法士の、作業療法士による、作業療法士の為のツールが、国に認められ、加算を勝ち取ったことは本当に素晴らしいことだ。

 だから、ボク達はどんどんこのツールを成長させなければいけないだろう。これは必達のミッションとなることと思う。

 しかし、現状のままでは、いつかどこかの時点でポシャる気がしてならない。

 加算の枠を広げ、MTDLP修了者、指導者を増やして、もはや作業療法士ではなく、生活行為向上マネジャーとかって資格名が変わってしまうくらいになったら良いんじゃないかと。

 あ、なんか今いやな予感が…。

 ケアプランの仕事をケアマネージャーに取られたように、生活行為向上マネジメントを生活行為向上マネジャーなんていう新しい資格に奪われないようにしないとね…。

 そんじゃーね。

事例で学ぶ生活行為向上マネジメント

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