評価と治療

『アルツハイマー病の進行を遅らせる物質を発見』から考えた認知症リハ

 こんにちは。作業療法士の中野です。

 いやぁ、最近の科学技術やら医学の進歩は目覚ましいですなぁ。

 毎日のように何かしらの発見が発表されているので、ボク達が高齢になる頃には障害なんて言葉が無くなるんじゃないだろうかなんて思うが、そうもいかないのが現実だろう。

 先日はアルツハイマー病の進行を遅らせる化学物質が発見されたとのニュースを目にした。(参考:アルツハイマー病の進行を止める化学物質が発見される?)

 本当に喜ばしい発見である。

 しかし、まだ完治させられる何かが発見されたわけではないし、今後発見されるかどうかも分からない。

 理学・作業療法士として、今後もアルツハイマー病、認知症に対して立ち向かわなくてはいけないのが現状だ。

 今回は、この発見されたニュースを受けてボクが認知症のリハビリテーションについて考えたことをシェアしたいと思う。

やっぱり認知症対応は初動が大事だな…

 例えば今回発見された物質に関する研究が更に進み、アルツハイマー病の進行を大幅に遅らせることができる薬となって誕生したとしよう。

 例えば70歳の人が認知症になって90歳まである程度認知機能を保ったまま生きることができれば、完治ではないものの、その薬が与えた功績は大きいだろう。

 しかし、これは70歳で認知症になった人が、その画期的な薬を70歳から服用した場合に限る。

 70歳で認知症になった人が、75歳で家族があまりにも手を負えないとなった時点で受診し薬を飲み始めたとしたらどうだろう。『治す』ことが目的ではないその薬にはもはや用なしだ。

 現状のリハビリテーションも似たようなもんだ。

 『認知症初期集中支援チーム』などの体制を組んで、如何に初期の段階で支援するか?に着目している。

 それは初期での関わりが進行を遅らせるというエビデンスが出つつあるからだ。初期の運動療法や認知リハビリテーションには進行を遅らせると言われている。

 だからこそ、治療にしてもリハビリテーションにしても初動が大切だ。如何に早く気付き、対応するか。

 その為にも家族や周囲にいる人間が如何に早く気付き、受診するか?その為にはやはり認知症に対する啓蒙が重要になってくると思っている。それももちろんボク達の仕事の一部となるだろう。

QOLに著しい低下を招く認知症

 介護離職を減らそうと安倍政権は動き出した。

 通所施設も入所施設も認知症対応に対する加算がされるようになった。

 ボクは訪問看護ステーションにおいても認知症の加算をつけるべきだろうと思っているし、ま、加算付かなくても認知症ケアには力を入れていくつもり。

 何故なら認知症こそQOLの著しい低下を招く障害だから。もちろんCVAもそうだし、神経難病なんかもそうだけど、ボクは認知症が一番やっかりだと思っている。

 CVAや神経難病の同居人を抱える家族が、介護苦から殺したとか自殺したとかってあまり聞かなく無いです?けど、認知症にまつわる事件って結構多いでしょ?

 つまりね、家族が1人認知症になったら、本人だけでなく周囲のQOLも著しく下げられちゃうのよね。これが現実。

 そして、ボク達は本人だけでなく家族のケアも必要がある。けど初期でない認知症の進行をリハ職が抑えられるかって言ったら殆ど不可能なわけで、機能回復→家族の負担軽減なんてフローを描いてたらトンデモナイ。

 家族と直接向き合って、家族の心のケアをしていかないといけないの。だってボク達がいくら頑張ったって介護負担が減るわけでもないし、介護を1日3時間手伝ってあげられるわけじゃない。

 物理的変化を生み出すことが出来ないんだったらせめて、精神的変化を提供しようじゃないの。

 認知症リハで重要なのは、家族へのカウンセリング・コーチングだなぁと、認知症にまつわる事件や事故のニュースを見る度に思う。

まとめ

 科学技術や医学の進歩によって、今後も認知症の進行を遅らせる〇〇とか、認知症を治す〇〇なんてものが発見されるかもしれない。しかし、発見されないかもしれない。

 そこは専門の研究者にお任せするしかない。

 ボク達は現場で、今あるリソースを使って、クライアントと家族に向き合うだけ。

 初期であれば徹底的に進行を遅らせるためのアプローチ、進行が進んでいれば介護負担が増えないようにADLの維持、そして家族の心のケア。

 特に訪問看護ってそういう意味合いにいて重要なんじゃないかなって思っている。

 是非訪問看護で働く看護師さんや療法士さんには自分の役割について再度考えて頂ければなぁと思う。

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