哲学・科学・理論

作業療法とは?作業療法士って何する人?への個人的見解

 こんにちは。作業療法士の「なかの」です。

 昨日の夕方くらいから降り始めた雨のお陰で昨日ボクはタクシーを利用して帰宅した。夜は乗り継ぎも不便だし、家まで歩くの大変だし。

 でも、贅沢ばかりしていられないから朝はバスと電車を使って出勤する。

 うちの整体サロンは11時からなので、あまり早い時間に出発することは無いのだが、今日はウォーキングデッドを見るという大切な仕事があるはずだったから早めに出た。(意味不明な方は『中枢神経系障害のクライアントに対してやる気や頑張りを促す必要性が証明された!』の冒頭を読んで欲しい。)

 すると、梅田駅で発狂するかと思った。

 こういう環境で片麻痺の人が出勤できるか?いや、健常であるボクも無理無理無理って思う。

 そろそろ同僚やクライアントに迷惑のかからない範囲でフレックス制の導入を徹底して欲しいと切に願う。

 さて、今回は学生さんからの質問に答えるためにタイトルのような事を書きたいと思う。

作業療法って何?ってかそもそも作業って何?

 学生さんからの質問は作業療法士の養成校に入って色々勉強していくうちに『作業』というものの奥深さを知ったが、一般に作業というと手工芸的な意味合いを持たれる。そういう一般の方々に作業を知ってもらうにはどうすれば良いか?というものだった。

 作業とは?っていうのは作業療法士にとって永遠のテーマの1つみたいなものなのでボクの個人的見解としてお答えさせて頂いた。

 『作業療法』はそもそも『Occupational Therapy』の訳として日本に入ってきた。

 『Occupation』の直訳は『職業(仕事)』だったり、『(場所や時間を)占める』という意味になる。

 で、戦争とかで仕事をすることが困難になった兵士に再び仕事をさせるとかが仕事だったわけだ。もちろん、戦争している国には今もそういう役割があるだろう。

 でも、日本では現在、養成校のカリキュラムから『職能訓練』という項目が消えつつあるらしい。理由は復職だったり、再就職の為に作業療法を提供する機会が減っているからだろう。

 企業側の努力もあるし、労災などの制度も整ってきているからだろう。

 このような背景を踏まえてボクは作業を以下のように定義している。

 『その人の人生を占めている時間そのもの』

 つまり、朝起きる事、着替えること、顔を洗うこと、歯を磨くことから始まり、電車にのり、仕事をして、風呂に入り、夜寝ること。これら全て作業である。

 休日を趣味に費やすこと、テレビを見ること、溜まった洗濯をすること、物思いにふける事(更にはこの時の情動)も全て作業だ。

 赤ちゃんのランダムモーション(手足をバタバタ動かす動き)も作業であれば、胎児の胎動も作業である。

 つまり、ボク達は作業して生きているってわけ。

 じゃあ、作業療法って何よ?

 作業療法は『Occupational Therapy』であり、リハビリテーションの一種である。

 リハビリテーションの目的に関しては、『リハビリテーションの目的とは何か?を考えながら作業療法すると分かりやすい件』でも述べたように権利の再獲得(あるいは獲得)である。

 つまり、クライアントが行う作業のうち、失われた(あるいは初めから持たされていなかった)権利を再獲得する支援を行うのが作業療法だ。

 大人になると「仕事」が人生の大半を占めるわけだから、22(16)〜65歳の方へのリハビリテーションは仕事への復職とか、再就職とかそういうのがテーマになる場合が多い。

 65歳以上の大半を占めるのは…?というと難しい。仕事を離れた後、時間の使い方は多様化するのが現在の日本の形だ。だから生活行為向上マネジメントとかでその人を知ることが重要になる。その人の占める時間に優先順位をつけ、それに対してアプローチを行う必要があるわけだ。

 また、18歳未満においては『教育を受ける権利』があったりして、大半の方が学校生活に多くの時間を占めているわけだから、クライアントが如何にして教育を受ける権利を行使できるようになるか?を考える。

 それだけじゃなくて、日本人には基本的人権があるし、生存権(健康で文化的な生活を営む権利)があるわけだから、そういった権利が阻害されているならボク達はそれらにアプローチする。

じゃあ、作業療法士は何する人?理学療法士と何が違うの?

 理学療法士はこの失われた権利を再獲得させるために『機能面』に注目し、機能向上を目指す各種アプローチを行う。機能を向上させることで、クライアントの失われた権利を再獲得することを目指す。

 じゃあ、作業療法士は?

 作業療法士は、クライアントが失った権利(問題となっている作業)を分析し、クライアントが如何にしてその作業を遂行できるかを考え、支援する(もちろん機能の向上も含めて)のが仕事である。

 日本作業療法士協会の定義によると以下のようにされている。

 身体または精神に障害のある者、または それが予測される者に対してその主体的な生活の獲得を図るため、諸機能の回復・維持および開発を促す作業活動を用いて行う治療、訓練、指導および援助することをいいます。

 方法論的には『作業活動』を用いてとある。

 以前はこの作業活動が手芸や工作の趣味的活動として捉えられていた。

 理由は法律にある。理学療法士及び作業療法士法によると作業療法は以下のように定義されている。

 身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。

 方法論に関して『手芸、工作その他の作業』としているのだ。これを読んだ大半の人は手芸や工作がメインに活用すると思ってしまうだろう。

 しかし、ボクは実際は違うと思っている。クライアントの主たる問題が手芸や工作の趣味的活動だとするならば手芸や工作を行えば良いと思うがそうでない場合の方が多いだろう。

 つまり、作業療法はクライアントが実際に悩み、苦しみ、再獲得したいと切に願っている『作業』に焦点を置き、その作業そのものを活用して治療するのだ。

 やり方を教えることかもしれないし、利き手に麻痺がある場合は非利き手を使う方法を練習することかもしれない、もしくは何かしらの道具を活用するかもしれないし、手順を紙に書いておけばクリアできるかもしれない。

 方法は様々だが、実際にクライアントがその作業を遂行する為に必要なことを全て(効率よく)行うのが作業療法である。

まとめ

 今日こういう質問が来たが、たまたま昨日ボクの整体サロンにお客様として来られた病院勤務の医療事務の方にも作業療法についてお話する機会があった。

 作業ってこういうことで、作業療法ってこういう仕事をする人なんですよ!と熱く語らせて頂いた所、そのお客様は非常に感心して、「作業療法士さんってそこまで色々考えてやる職種だったんですね。知らなかったです!」と仰っていた。

 ボクは作業療法士として、作業療法を知らない1人にその事が伝えられて少し嬉しかった。笑

 でも、こういう仕事も作業療法士ならではであり、継続していくべきことなんだろうなぁと改めて感じた次第だ。

「作業」って何だろう―作業科学入門

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