雑記
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認知症の社会理解より、まずは介護職員の理解からだろう

 こんにちは。作業療法士の「なかの」です。

 ボクの婆ちゃんは、かる〜い認知症である。まだまだ日常生活に大きな支障はない。

 認知症よりも膝の痛みか可動域制限、筋力低下による歩行障害の方が日常生活に支障をきたしているが、それでも毎日畑に通うほど元気な人である。

 キーパーソンである義理の娘(ボクの母親)にかかっている介護負担はそれほど大きなものではないと思っている。

 だからまぁ、放置して家族と離れて過ごせるわけだが。

 しかし、そんな中認知症患者やその周囲に起こっている事件や事故を見ていると他人事ではないとひしひしと感じる。(参考エントリー:認知症患者に関わる事件・事故が増える中、療法士はどう対策すべきか

 現状我が家には大きな問題とはなっていないものの来年どうなるかは分からない。

 そしてそんな中、今日は介護職員による虐待のニュースが飛び込んできた。(参考:入居者にプロレス技・犬のような名 介護事業所を処分

 家族の介護苦と違って、介護職員というプロフェッショナルであるべき人間が虐待するとか、家族からしたら寝耳に水な話である。

 療法士は、こういう実態を正しく把握し、対処していく必要があるだろう。

介護者による虐待の実態

 で、その実態を把握するために少し調べてみた。

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 上の図は厚生労働省の調査資料(※PDFファイル)からお借りした。

 この調査は認知症患者に限ったものではなく、要介護状態の高齢者に対する調査である。

 要介護者数が毎年のように激増しているから増加するのは仕方ないかもしれないが問題は介護職員による虐待件数も増加していることだ。

 要介護者数が増えれば増えるほど、被介護者である家族も増えるわけで、家族による虐待が比例して増えるのは分かる。(もちろん対策は必要だが。)

 しかし、虐待する介護職員というのは多数の介護職員の中においては少数派のはずで、その中で虐待数が増えているというのはどういうことだろう。

 一人の人が何人も虐待しているのか?

 あるいは、介護職員確保が難しい状態においても少なからず虐待の危険性のある職員を雇用してしまっているのか、あるいは今まで虐待なんてしそうも無かった介護職員が悪魔に取り憑かれてしまうのか。

 少なからず認知症患者の行動には、介護職員を悪魔にしてしまう特徴があるかもしれない。

 しかし、それは完全に理解不足から来るものである。認知症患者の行動を問題行動として捉え始めた瞬間から介護職員は悪魔に蝕まれていくだろう。

認知症患者の行動の捉え方

 問題行動。あるいはそういう側面もあるかもしれない。

 しかし、ボク達専門家はそういう風に捉えない。そうとらえた時点で治療もリハビリも介護もあったもんじゃないからだ。

 認知症患者の行動の捉え方については『認知症や自閉症患者の行動の捉え方について知っておくべき事』に書いたように、環境の問題が大きい。

 クライアントの人間性でもなければ問題行動でもない。症状によって起こってしまう不幸なのだ。

 そして、その行動が不幸に繋がらないように支援していくのがボク達専門家の仕事である。

社会への認知症理解よりも、まずは介護職員の理解を深めるべき

 もちろん社会に対して認知症の理解を促すことは重要だし、推し進めていくべきことだろう。

 しかし、社会全体へ!という前にまず介護職員への理解を深めていくことが急務に思えてならない。

 介護は大変な仕事だし、給料も大変さの割に低い現状において、介護福祉士資格を持つものなんていう縛りをつけると門戸が狭くなる。そうすると施設の運営に大きな支障が出てくる。特に地方だとより顕著に現れているだろう。

 介護職希望者の門戸を現状で狭めることはできない。

 だとしたら、介護職員への教育が急務なのである。

 認知症なんて特にだが、その他高齢者や要介護状態という事への理解を深める教育を施さなければ、介護職員はどんどん悪魔に蝕まれていくだろう。

 だって、彼らの多くは専門家ではなく、素人だからだ。

 素人が、自分の親でもない高齢者に対して介護を行うのだ。これってかなり大変なことだと思う。しかるべき教育がなければ悪夢は繰り返されるだろう。

 介護施設運営者はこの実態をしっかり把握し対策をしなければいけないし、療法士は要介護者側の事も介護職員側の事も広い視点で捉え、教育をする側として力を発揮するべきだと思う。

まとめ

 こういう事件は本当に他人事ではない。

 将来、あなたが虐待される側にならない理由はどこにもないのだ。

 今はまだボク達は本当の意味で要介護状態とはどういう状態か?を知らない。

 被介護者は、要介護状態を経験したことも体感したこともないからだ。

 病気になった人が、「何故自分がこんな目に?」と思ってしまう事と似ている。元気な間は自分が病気になるなんて考えもしないものだ。それが人間である。

 同じことで、自分が要介護者になるまでは要介護者の本当の気持ちなんてわからない。虐待を受ける辛さを実は感じているかもしれない。

 そして、その辛さが本当の意味で分かるのは自分が虐待を受けた時なのだ。

 あなたはこの問題を自分が虐待を受けるまで放置するのだろうか。

人権と介護―虐待と認知症

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