評価と治療
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認知症や自閉症患者の行動の捉え方について知っておくべき事

 こんにちは。作業療法士の「なかの」です。

 認知症や自閉症は脳の障害である。それは理学療法士・作業療法士なら勿論のこと、一般の方にも最近は知られたことだろう。

 しかし、その理解し難い行動の原因についてはまだまだ分かっていないことだらけなのが現状だろう。

 いや、それはもしかしたら一生誰にもわからないことなのかもしれない。

 今回は認知症や自閉症など脳の障害によって行動障害が起こってしまうクライアントの行動の捉え方について書きたいと思う。

そもそも行動は何故起こるのか?

 障害があろうと無かろうと人は行動する生き物である。

 しかし、人は何故行動するのだろう。

 行動の原因を探っていく方法論を『原因論』的な考え方という。そして、反対に行動の目的を探っていく方法論を『目的論』的な考え方という。

 原因論では、行動が起こるに至った原因を探す考え方であり、目的論は行動が起こるのは何かしらの目的を満たすためであるという考え方だ。

 原因論では、原因が不明なのに対し、目的論では原因は目的にあり、その目的が不明だという立場を取るのだ。

 そして、アドラー心理学では目的論的な考え方の立場をとっている。

 行動が起こるのは何かしらの目的があり、その目的を満たすために行動が起こっているという考え方である。

 例えば子どもが先生の言うことを聞かないという行動は「注目を浴びたい」とか「もっと関心を向けて欲しい」という目的の為に起こっているケースがある。しかし、この場合先生は原因論で考え「集中力がない」とか「落ち着きが無い」という子どもに原因を探ろうとする。

 この考え方の相違によって双方の理解が深まらないのだ。

認知症や自閉症の行動を目的論で考えてみよう

 認知症や自閉症のクライアントの行動も先の例のように目的論で捉えてみるとどうだろうか。

 例えば「便の問題行動」を捉えてみよう。

 原因論的に捉えると「便の認識が出来ていない」となるかもしれないし、「トイレの認識が出来ていない」となるかもしれない。

 しかし、目的論では『必死にトイレを探したが見つからず(場所の見当識障害)、間に合わなくて漏らしてしまい、何とか便を処理しようと窓の外へ投げ捨てたら実際は窓が開いていなくて(視覚の認識障害)便を投げつけたという格好になった』とも考えられる。

 自閉症児や知的障害児の問題行動とされる行動も『目的論』で考えると決して問題ではなく、必死に生きようとしている結果であるということが見えてくるのだ。

まとめ

 物事は多面的に捉えることが出来る。

 原因論も間違いではない。しかし、目的論という別の視点で物事を見るという考えがあれば世界は広がる。

 ボク達は画一的なものの見方ではなく、視野を広く捉えなければいけない。それがクライアントの評価の深さに繋がるからだ。

 今回ご紹介した目的論と原因論もその一つとして是非取り組んで頂きたい。

 さて、今回このエントリーを書くに当って参考にした書籍がある。それは岸見先生のアドラー心理学入門だ。

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

アドラー心理学入門―よりよい人間関係のために (ベスト新書)

 理学療法士・作業療法士の仕事にもプライベートにも活きる内容が満載で、且つ分かりやすくすぐに読めるので是非ご一読してみてほしい。

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