評価と治療

ボバースとPNFの共通点と、理学療法・作業療法への活かし方

 こんにちは。作業療法士の「なかの」です。

 先ほど書いたように、先日日本PNF協会学術集会に参加し日本のボバースの第一人者である紀伊先生と、日本のPNFの第一人者である市川先生のお話を同時に聞く機会を得た。(参考エントリー:森ノ宮病院名誉副院長の理学療法士「紀伊克昌先生」はここがスゴイ!

 日本を代表する理学療法士であるお二人の何がスゴイって、治療技術でなく治療選択力であり、それは治療を通じてクライアントを知る技術であったという話を書いた。

 もちろんお二人の話を聞いて学んだことはそれだけではない。

 何故、毎年のように多くの療法士がボバースやPNFの講習会に参加するのか?ということも改めて見えてきた。(参考エントリー:ボバース法やPNFの神経促通手技が今も残り、流行っている理由

 ボバースもPNFも常に進化している。その中で世の中に必要とされる形へ、世の中に合った形へ常に変化してきているのだ。

 そして、今回はボバースとPNFのそれぞれの第一人者から話を聞くことで、どのように進化したか?について共通点があったのでご紹介したいと思う。

ボバースとPNFの共通点

 ボクはPNFのベーシックコースは修了しているが、ボバースに関してはド素人であり、今回紀伊先生のお話を聞いたことによるものがベースとなっているので間違いに関してはご指摘願いたい。

 だが、ここで書こうとしているボバースとPNFの共通点に関して大きな間違いがあるとは思わないので、まずは勇気を持って紹介しようと思う。

促通手技(ファシリテーション)ではなくコンセプトである

 前出の『ボバース法やPNFの神経促通手技が今も残り、流行っている理由』でも書いたことであるが、ボバースやPNFはファシリテーションではなく、コンセプトであるという事だ。

 もちろん、共にファシリテーションテクニックから始まっている。しかし、それはコンセプトに基づく治療選択の1つであり、ボバースもPNFもコンセプト(概念)に基づいているのだ。

 では、どのようなコンセプトか?

 それはクライアントの人生をより良いものにしていく為のコンセプトである。

 クライアントの抱える問題点の中心が何であり、それに対してどのように取り組むか?が重要なのである。

障害とは何か?治療の目的とは何か?

 上記のコンセプトにおいて(特に昨今)重要視されているのが『運動制御』と『運動学習』だ。人がどのように運動を制御し(逆にその制御機能をどのように失い)、どのように学習していくか?をベースに考えることによりボバースもPNFも考えられているのだ。

 障害とは運動制御と運動学習の障害であり、治療の目的は運動制御と運動学習を促進するためのものである。そして、ファシリテーションはその為の一つの道具であるという考え方である。

 これは各種療法問わず、近年の最重要課題となっているし、療法士にとっての興味の中心だろう。各コンセプトにおいても同様に運動制御と運動学習について考えられている。

 紀伊先生のお話にあったが、ボバース夫妻が亡くなる前、「ボバース法」と表現されることに違和感を感じておられたというお話があった。これはボバースは方法論でなくコンセプトであるという上の話のように周囲に理解されていないことを危惧されたものらしい。

 ボク達は障害の理解、治療の目的を運動制御と運動学習を中心に据え考えなければいけないし、ボバースもPNFもこれらを中心に据えて考えられているコンセプトなのだ。

全体像を捉えるということ

 ボク達はクライアントの障害(悪い部分)に目が行きがちで、クライアントの良い部分を評価しきれていない事がよくある。(参考エントリー:理学療法士・作業療法士はもっと患者の「いい部分」を評価できなければいけない

 つまり、これは10年以上前にICIDHという指標からICFという指標に切り替わったことに起因する。

 ボバースもPNFもICIDHからICFへの変化、いやイノベーションというほどの大きなパラダイム・シフトに対応してしっかりと変化している。

 もちろん、これ以前から全体像を捉える、良い部分を評価し活かすという考え方はあったと思うが、このパラダイム・シフトを受けて、しっかりとコンセプトに明記されるようになっている。

 前出の『森ノ宮病院名誉副院長の理学療法士「紀伊克昌先生」はここがスゴイ!』でも書いたが、クライアントの全体像を把握できないと適切な治療選択はできない。適切な治療選択ができることこそ治療結果を出すために必要な要素になるが、全体像を評価できなければ適切な治療選択はできないだろう。

ボバースやPNFを理学療法・作業療法に活かす方法

 ボバースやPNFは方法論であると思っている方が大多数であるし、実際の講習会ではこの方法論に当てる時間が大半である。

 しかし、ボク達はボバースやPNFをクライアントに提供するわけではなく、よりよい人生を提供することが仕事である。

 クライアントがよりハッピーになるためにはどうすれば良いか。クライアントを効率的にハッピーにするにはどのような手法が適当か?

 これが治療者としての最重要検討課題である。

 紀伊先生や市川先生はこの課題解決が得意だからスゴイと言われているのだ。

 別にボバースの手法やPNFの手法がスゴイのではない。(いや、手法もスゴイけどね。)

 ボク達が理学療法・作業療法にボバースやPNFを活かすためには、まずコンセプトを理解する必要がある。そして、そのコンセプトを治療に活かすのだ。

 クライアントの障害について、治療目的について、そしてその全体像。それらを『評価』するシステムとしてボバースやPNFのコンセプトをまず用いるべきだろう。

 そして、その後の治療選択としてボバースやPNFの手法が有効だと考えられたら実際に治療手技として用いれば良い。

 作業療法士であれば、クライアントに提供する作業療法にその手技の要素を取り入れれば良いのだ。

 ボク達はまずクライアントを知らなければいけない。その中にボバースやPNFのコンセプトが活きてくるとボクは思っている。

まとめ

 手技は実際に講習会に参加しなければ中々学べないだろう。もちろんコンセプトについても深いところで理解するためには講習会に参加する必要がある。

 ボクはそう思って、これから数年間かけて様々な講習会に参加しようと思っている。

 だが、コンセプトを知るだけであれば講習会だけでなく、既存の書籍などでも学べる。

 ボクが学んだことについてはブログでシェアしているので参考にしていただきたい。

 講習会に参加しようと思っている人だけでなく、知識として知っておくだけでも役に立つと思うので是非読んでおくといいだろう。

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PNF基本的手技と機能的訓練

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