予防医学
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介護予防サービス展開におけるラジオ体操の有効性と作業療法士の活躍意義について

 先月手元に届いた雑誌「作業療法」に載っている研究論文「地域開催型ラジオ体操が高齢者の身体・心理社会面にもたらす効果」がとても興味深かった。

 地域の高齢者に対し、継続的にラジオ体操を行う群と対照群に分け、その効果を判定するという研究で、下肢筋力と動的バランスの向上、また主観的評価において生活リズムの確立、気分・体調の向上が7割程度の対象者に見られたというものだった。

 研究の限界として、「地域限定で対象者数が少ないこと」「運動習慣の特徴を把握するためランダム化していないこと」「対照群の運動意欲が高い可能性が高いこと」が挙げられていたが、結果には意味があるとボクは考える。

 よく考えられた研究だと思ったので是非ご一読頂きたい論文である。

 さて、ボクはこの研究から今後介護予防サービスを展開するに当たり考えたことがあったのでシェアしたいと思う。

介護予防という概念

 そもそも介護予防とはどのようなものか。

 簡潔に言葉にすると「介護の必要がない状態を守る」であったり「現状以上に介護量を増やさないようにする」と言えるだろう。

 紹介した上記論文でも書かれているが、先行研究によると脳卒中の発症率が下がり、生活能力を維持する能力が2,7倍高くなるとされている。

 我が国において、要介護状態になる理由は「脳卒中による後遺症」「認知症」「関節疾患」「廃用」「骨折・転倒」が大きな原因となっている。(下表参照)

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(図引用:内閣府

 特にボク達の対象者の多くが脳卒中後遺症と認知症であることを考えるとこのデータはとても良くわかる。

 つまり、介護予防とは脳卒中や認知症の予防、廃用や転倒の予防という風に「生活習慣」の改善が必要だということだ。特に食生活と運動習慣はこれら疾患の予防において非常に重要なファクターだろう。その中でもボク達は特に運動習慣について考える専門家である。

 予防とは、していれば必ず防げるというものではない。目的はリスクの軽減であり、健康寿命の延長である。それらを考えると高齢者(だけではないが)に運動習慣を定着させるというのは立派な介護予防であるし、ボク達が活躍する意義となるだろう。

我が国における高齢者の運動習慣の問題点

 特に運動習慣に関しては、全年代において減少傾向にあり、高年齢層においては習慣的に運動を行う群と、全く運動をしない群に分かれているそうである。

 で、この運動習慣の有無による生活の違いについては明らかである。(参考:高齢者の運動実践者と非実践者における生活意識と
生活行動の相違に関する研究

 問題は、運動しない人を如何にして運動させるかである。運動しない人は何故しないのか?それは周囲との関わりの低さかもしれない。

 ボク達は地域に入り込み引きこもり高齢者を外に連れ出したり、何かしらの運動しない理由を潰していく役割があると考えられる。

運動習慣を持つための導入としてのラジオ体操

 ボクも整体サロンのお客様にはラジオ体操をよくオススメしている。理由は安全で簡単でお金がかからないからである。(参考:健康のためにラジオ体操を始めた方が良い3つの理由

 高齢者の場合、特に安全で簡単ということが非常に重要だ。

 上の研究でも、馴染みのある活動で新たな学習を必要しないという理由でラジオ体操が選ばれている。

 ラジオ体操を選択するのは非常に効果的なのではないかとボクは考える。

 また、運動負荷が少なく、簡単でお金がかからないという意味合いにおいては「スロージョギング」も同様なので合わせて紹介しておこう。(参考:認知症予防にも運動は効果的!私がスロージョギングをすすめる理由

運動習慣をつけるために作業療法士がすべき事

 運動習慣がない高齢者にはそれぞれに理由があるだろう。

 ボク達はそれを潰していく必要があるというのは先に述べた通りである。

 その運動習慣をつけるためのツールとしても「興味・関心チェックシート」は使えるかもしれない。(参考エントリー:生活行為向上マネジメントが主流になるとカウンセリング、コーチング技術がますます必要とされる件

 で、それらをしていくためにはフォーマルなサービスの中では難しいかもしれない。

 まだ病気になっていない、誰の目にも止まっていない高齢者を見つけ出さなければいけないのだ。

 だから、地域の整骨院や整体サロンなどの協力して行う必要がある。ボクは整体サロンを経営する立場から今後このような活動にも従事していこうと考えている。

 「予防」をテーマにする以上、医療・介護の網にかからない人たちに如何にメッセージを届けるかが非常に重要なファクターとなるだろう。

まとめ

 ボクは世間で言われている介護予防の枠組みがどうも小さく思えて仕方ならない。

 もちろん、理想論と現実論があり、現実論的にはその枠組が小さくなっても仕方ない。しかし、ボク達のリソースはその枠組にはとどまらないとボクは思っている。

 介護予防とはもっと広い意味合いにおいて行われるべきだし、その広い意味合いの介護予防にどんどん素人集団が金儲けを目的に参入してきている。

 ボク達はこれを放置してはいけないと思う。

 是非、共に予防分野において活動をするセラピストが増えてきて欲しいと思う次第だ。

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