実習・国家試験対策

未だにある実習地の当たりハズレに悩む理学・作業療法学生を救う方法とは?

 先日まで、いくつか現役学生さんのお悩み相談に対してブログにて回答してきた。それを読んでくれた学生さんからは次に向けて頑張りたいと前向きな返信があり、ボクも嬉しい限りである。

 さて、この学生さんを担当したスーパーバイザーは本当にひどいし、学校側の対応も最悪だと個人的な感想を持った。

 昔から変わらず今もこのような体制が現実にあることが驚きだ。早く都市伝説的な話になってほしいと思うがまだまだ先のことだろう。

 このような体制が続く限り、ボク達の業界は恐らく衰退の一途を辿ると考えられる。医療費が40兆円を超え、更に増加の一途を辿っている昨今、医療や介護を取り巻く社会情勢が厳しさを増していくはずだ。その中で学生の登竜門的に厳しいパワハラに耐えながら学生生活を送らなければいけないなんて時代に合っていない。

 今回は、ご相談頂いた学生さんのケースを例に今後の実習地、スーパーバイザー、学校のあり方について考えたのでシェアしたいと思う。

※当ブログはありがたい事に多くのセラピストや学生さんに見て頂いているので、ケースの紹介に関しては若干のフィクションを混ぜ本人の特定が不可能なように解説したいと思う。ただし実際に合った出来事をベースにしていると思って読んで頂ければ幸いである。

評価実習中止になったAさんの例

 評価実習という表現が共通言語なのかどうか不明なので、3年制であれば2年次、4年制であれば3年次に行う、クライアントの評価の流れを体験することを目的にした短期(1ヶ月未満が大半かな?ボクは3週間だった。)の実習に行かれていた理学療法学生さんが今回パワハラ被害にあい、且つ実習中止になられた。

 仮にAさんとしよう。

 Aさんは学校内の成績は優秀(テストでは毎回1〜5番の順位)な社会人経験者である。社会人から理学療法士への転身を決められた理由は知らないが、何かしらの思いを持って学校へ入学されたに違いない。

 学校での勉強と、家事・育児を両立し、且つ学費など必要諸経費なども今までの貯蓄から工面されているのだろう。現役学生は両親に学費を負担してもらっていたりする場合も多いだろうからわからないかもしれないが、学費ってめちゃめちゃ高いのである。

 ボクも2児の父親として、何とか自分達の老後と子どもたちの養育費を工面している生活だ。

 ボクのことはさておき、そんな大変な状況でとある分野の病院へ行かれたAさんは、初日から詳しい情報収集をさせてもらえる時間もないまま、ICFにまとめろとバイザーに言われた。

 どの程度の情報収集ができたかは知らないが、翌日バイザーからレポートに関する叱責の嵐だったようである。あなたこの分野嫌いなんじゃない?やる気ないんだったら中止にするよ?という脅迫紛いの暴言や、家庭の状況など関係ない、実習中は寝かさないからそのつもりで!などの完全な実習の目的から反故したような罵声を浴びせられたとのこと。

 睡眠時間を削っても良いことなど何もない事は誰でも知っていると思うが、このバイザーはそれを明言していたとのこと。

 で、最終的にこれらパワハラに耐え切れなくなったAさんは、スーパーバイザーに文句を言ってしまいます。

 「やる気が無いとおっしゃいますが、何を持ってやる気がないと言われるのですか?私はやる気を持って取り組んでいるつもりです。それでもダメだというなら学校に苦情でもなんでも言ってください。」

 すると、担当バイザーはクスクス笑い、最後には高笑いをして学校へ連絡し、そのまま中止になったのである。

 この最後の話は、ドラマでもベタな悪役過ぎて最近はあまり見ない悪役だ。何様のつもりなんだろうか。

ボクからAさんへのアドバイスと感想

 ボクが評価実習で辛かった時に助けてくれたのは養成校の先生である。短い実習で、且つ遠方へ実習へ出ていたボクは通常実習地訪問は1回だが、ボクの為に2回も来てくれた。

 電話でも話したりして、随分楽にしてもらった経験がある。

 ボクはこの先生方への恩義を一生忘れることはないし、その恩義を業界に返していく思いもあってボクはこんなブログを書いている。

 だから、今回ボクがこのAさんの話を聞いて一番許せなかったのは学校の対応である。

 実習地は通常業務外でわざわざ学生の面倒を見なければいけない、言ってしまえば雑務だ。それをお願いしている以上、ある程度実習地に裁量を与えなければ仕方あるまい。しかし学校は学生を育て、立派なセラピストとして社会に送り届けることが仕事である。

 躓きかけた学生には手を差し伸べ、もう一度走り出せるように伴走するのが仕事なのではないだろうか。

 しかし、このAさんの学校はそうではなかった。

 Aさんの学校の学部長は、スーパーバイザーから三回目の電話があった時点で(学生からの話も聞かず)中止の判断をしたのだ。どんな相手だろうと対応できる適性ではないと判断したそうである。

 いやいやいや、例えばあなたテロリストと仲良くできますか?パワハラに負けない力を身につけるのが実習の目的ですか?

 例えばクライアント相手にコミュニケーションが取れていなくて、クライアントから苦情が出ていて…というならわかります。ボク達はプロとしてどのような肩書を持った人でも、どのような性格の人でも対応できなければいけません。

 ですが、相手はスーパーバイザーですよね?その対応間違ってませんか?

 Aさんの学校は残念ながらそのような体質ではなかったようだ。

実習地による当たりハズレを無くすために

 シルバーウィーク明け、本日から仕事を再開しているボクはポストに日本作業療法士協会誌が入っていたので業務開始前にペラペラと内容を見ていた。

 作業療法士協会では臨床実習指導者研修をいつからか知らないがやっている。で、臨床実習指導施設を認定したりしている。

 認定する内容に関しては調べていないが、施設とセラピスト個人の両方に研修修了などの認定を与え、その上で臨床実習指導施設、臨床実習指導者としての活動ができるようにするのはどうだろうか。

 協会が何のために施設を認定しているかはわからないが、理学療法士学生が自殺している事件については理学療法士協会も作業療法士協会も軽視はしていないだろう。

 今後このような状況を無くすためには、一定の基準とそれをクリアする施設・スーパーバイザーが必要である。そして、それ以外のものがスーパーバイザー業をするのは非常に危険であるとボクは思う。(調べたらOT協会のWebサイトに記述があった。「臨床実習指導者研修制度と臨床実習指導施設認定制度について」)

 このような対策は今から始めてもすぐには変わらない。だから、学校は学生を守らなければいけない。今回の相談者であるAさんは自殺するに至らなかったが、実習中止後今もまだ心の傷を抱えたままである。

 学校にはこのAさんに対してしっかり心のケアと、来年以降の手助けを約束してあげて欲しいと切に願う。

まとめ

 実習地では、同僚のパワハラを見逃さないで頂きたいし、学校側は実習地にヘコヘコして頭を下げっぱなしにせず学生をしっかりフォローしてほしい。

 しかし、これらは自分の力で変えられるものではない。

 現在、養成校に通う学生諸君はこれが現実であることを受け入れなければいけない。受け入れた上で、自分がどう行動すべきか。

 ボクがAさんに行ったアドバイスは「先生と仲良くして、いつでも助けれもらえる体制を予め作っておくこと」である。

 スーパーバイザーとの関係は出たとこ勝負でどちらに転ぶか始まるまでわからない。ボクも2年生の時に当たったバイザーがひどい人であることを実習前に知る由はなかった。

 幸いにも養成校の先生とは良好な関係を築けていたから助けてもらえたが、先生のフォローがなかったら…と思うとゾッとする。

 学生諸君が自らできる対策は、相談できる先生をしっかり捕まえておくことだろう。

 こんな現状が早く変わっていくことを望んでいるし、ボクも協会が行っている動きに賛同し、協力していきたいと思う。

その他、実習関連エントリー

 学生さんへ向けてブラック実習を乗り切るコツを以下にまとめているので良かったら参考にしてみて欲しい。

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