生活行為向上マネジメント

生活行為向上マネジメントにはカウンセリング・コーチングが必須

 先日、生活行為向上マネジメントの概論の講義を受け、来月演習を受ける予定である。

 この生活行為向上マネジメントを最初にチラッと見た時は「今更??」「何、この教科書に載ってそうな興味・関心チェックシート。こんなので評価できるの??」っていう印象だった。

 だが、実際に使ってみるとこの「興味・関心チェックシート」が意外と幅広い「作業」が網羅されていたのだ。そのポイントはセルフケア動作以外の作業に関して、かなり抽象度の高い表現が使われていることにある。

 しかし、この興味・関心チェックシートの難点が、この抽象度の高い表現にある。

 今回は、この興味・関心チェックシートを上手く使えるセラピストになるためのカウンセリング・コーチング技術について書きたいと思う。

興味・関心チェックシートとは?

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 知らない人はいないと思うが、図は興味・関心チェックシートの一部である。

 リンク先を見て頂ければ分かると思うが、中々抽象度の高い表現を使われている。

 多くの方の「作業」がこのチェックシートに含まれていると思う。特殊な環境や文化で過ごされている方を除いては空欄に別の作業を追加することは殆ど無いだろう。

興味・関心チェックシートの使い方

 「している」「してみたい」「興味がある」という3つの項目に加え、していないし、したいとも思わない項目にはバッテンを付けて使用するものである。

 この作業をしていますか、したいと思いますか、していないけど興味はありますか?などという質問によって項目を埋めていく。

 ただ、ご想像の通りこの項目を埋めればそれだけで良いわけではない。抽象度が高い項目が並んでいるので、「具体的にどのような作業か?」を引き出す必要がある。

 障害の為だったり、本人の知識レベルや情緒の状態、性格によってはその項目にチェックを入れた理由や意図について上手く言語化できない可能性もある。

 ボク達はこれらを上手く引き出す必要があるのだ。

 例えば、「野球・相撲の観戦」という項目がある。

 まず、野球なのか?相撲なのか?から始まり、野球だったとしたら高校野球なのかプロ野球なのか、はたまた孫の少年野球なのか…。

 プロ野球だったとして、贔屓のチームがあってそのチームを応援したいのか、どのチームの試合でも観ることが好きなのか、テレビ観戦で満足できるのか、球場に足を運びたいのか、大阪であれば阪神甲子園球場が近いが、地方に住むセ・リーグのチームのファンだったら西宮、名古屋、東京、広島、横浜など球場のある都市に出かけなければいけない。

 例えば、滋賀県に住む阪神ファンの片麻痺を持つクライアントが阪神甲子園球場で車椅子を利用して一人で観戦しに行くことは可能か?というところまで話をしないといけないのだ。

 これをするためには何が問題で、こういう困難があり、それらを乗り越えてでも達成したいのか?クライアントにそこまでの意思があるのか。ボク達はこれらを評価するために、カウンセリング・コーチングをの技術を磨かなければいけない。

カウンセリング・コーチング技術を磨くために

 では、どうすれば良いだろうか。

 クライアントがクライアント自身のNeedsを見つけ、ゴールまでの道筋を明確にし、実際に行動することを支援するのがボク達の仕事である。

 しかし、障害の有無に関わらず、自身のNeedsを明確に見つけるのは難しいし、ゴールまでの道筋を明確にしてもコロコロ変わっていくのが普通である。つまり、障害の有無に関わらずカウンセリングやコーチングは受けるべきなのだが。

 ボクはセルフ・コーチングがある程度できるが、それでも目標の修正や道筋の変更はよくある。ま、セルフ・コーチングしているから修正できるのかもしれない。修正できずに間違った方向に進むよりは100倍ましだ。笑

 クライアントも自らのNeedsに気付いていない場合は多々あるし、この方法が良いと思っても間違っている場合も多々ある。ボク達はクライアントが自身のNeedsに気付き、ゴールに向かって行動する支援をするのだ。

セラピストに必要なカウンセリング技術を磨くためにやるべき事

 だから、まずクライアントに自らのNeedsを正しく気付いてもらわなければならない。

 例えば、「トイレだけは一人で行きたい」というのはよくあるNeedsの一つである。読者の皆さんも一度は聞いたことがある内容だろう。

 しかし、何故そのクライアントはトイレだけは一人で行きたいのだろうか。家族に迷惑をかければないから?だとしたら家族じゃない人の介助なら一人で無くても良いの?若い女の子に介助してもらえるならOK?笑

 ボクはエロジジイになる自信がたっぷりあるので、お金が許すならば若い女性に24時間介護して欲しいと思う。介護技術が下手でも。笑 けど、現実的に無理だったらトイレだけは一人で…。というかも知れない。

 だとしたらボクの本当のNeedsである若い女の子に24時間介護を受けるという事は達成されない。つまり、例え一人でトイレに行けるようになったとしても、ボクのQOLは低いままである。

 本来のNeedsをつかむためには「追求」することが重要である。追求するためにはクライアントがそのNeedsを獲得する先の人生をイメージできるような質問を繰り返すことである。

 この質問にテンプレートなどはない。クライアントの状況や状態に合わせて、クライアントが言語化しやすいような質問を選び追求していくのだ。これは一朝一夕でできるものではない。是非チェックシートを用いながら同僚や友達と練習して欲しいと思う。

セラピストに必要なコーチング技術を磨くためにやるべき事

 次にゴールへの道筋を作る作業である。これも本来はクライアント自身が行うべきものである。

 ボクの老後の例は少し卑猥なので先の甲子園へ野球を観戦しに行く例にしよう。

 滋賀県彦根市から兵庫県西宮市の甲子園球場へ阪神タイガースの試合を観戦しに行きたいという事が本当のNeedsだったと仮定しよう。

 では、まず何を知らなければいけないか。色々ある。

 経済面(電車賃やチケット代)は大丈夫か?観戦環境は?ライトスタンドにこだわりのあるクライアントが車椅子観戦は可能か?最寄り駅までの交通は?球場内のトイレは?電車の中で尿意を感じたら?

 考えられる困難は様々だ。これをクライアント自身に考えてもらうのだ。ボク達は考える道筋のアドバイスをするだけである。

 電車賃やチケット代は生活費を除いた余分なお金で確保できますか?駅まではどうやって行きますか?ライトスタンドで観戦するのですか?ライトスタンドに車椅子席はありますか?無ければどうしますか?

 ここでも、クライアントが正しいゴールへの道筋を見つけるためにはクライアントが正しい思考をし答えを見つけるための質問だ。

 適切な質問でクライアントが答えを出すのを支援するのがこのタイミングで必要なコーチングスキルである。

 これもチェックシートを用いながら同僚や友達と練習するしか無い。是非とも練習して欲しい。

石の上にも三年

 「質問力アップ的なノリには要注意!セラピスト向け似非コーチングが流行中」でも書いたが最近セラピスト向けの似非コーチングが流行っている。

 質問力アップ!的なノリのセミナーは要注意である。(その理由を上のエントリーで書いた。)

 質問力アップのセミナーを受けたり、質問項目のテンプレートをもらったからといってスキルが上がるわけではない。それは様々な手技にも言えることである。一つの手技を覚えた所でしっかり使えるようになるには日々の鍛錬が必要だ。

 セミナーを受けただけで質問力が上がるわけはない。質問力が上がるのは質問によって答えを引き出す経験である。

 また、更に必要なのが観察力である。クライアントの出した答えは本当か、何か迷っているのか、あるいは嘘をついていないかなどを評価できなければ適切な質問は出せない。

 クライアントをしっかり観察しながら質問をするという鍛錬をすることこそ、カウンセリング・コーチングスキルを上げる条件である。

 余談ではあるが、THE MENTALISTの主人公、パトリック・ジェーンは上手にこの技術を使っているので参考までに見ておくと良いかと…。

まとめ

 いかがだっただろうか。

 このエントリーでカウンセリング・コーチングの技術を磨くことが重要さに気付き、その努力をするためのきっかけになってくだされば幸いである。

 ボク達の技術は本当のNeedsを知り、そのNeedsに対する適切な方法論を見つけるところからしか活かせない。

 ファシリテーション技術などもそうだ。

 正しい情報を引き出せるセラピストになる努力を是非とも初めて欲しい。

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