起業・経営
thumbnail

「予防」と「治療」の境目とは?違法と合法の間で開業しても良いのか?

 昨日「理学療法士・作業療法士の保険外診療(自由診療)での開業についての疑問」というエントリーを書いたら中々の反響を得た。ありがたや。

 理学療法士・作業療法士で開業したくても、こういう法律の曖昧な表現や協会からの惑わせるような通告がブレーキになっている人も多いのだと思う。

 さて、本日は昨日の続きを書こうと思う。

 理学療法士、作業療法士が保険外診療(自由診療)を医師の指示なしに「理学療法」「作業療法」「理学療法士」「作業療法士」「リハビリテーション」などの関連用語を用いて診療することは違法だという事を昨日書いた。

 だが、理学療法士という名称を用いて介護予防などに関わるのはOKだということは既に厚生労働省から通達が下りている。

 今日は「予防」と「治療」の境目と「健常」と「障害」の境目、ボク達の働き方について考えてみたいと思う。

予防と治療の境目とは?

 予防と治療の必要性からこの境目について考えてみたいと思う。

 必要性という観点で見ると予防は全ての人に必要性があり、治療は病を患った人や障害を負った人が必要とするものだ。

 治療が予防にもなることもあるし、予防が治療になることもあるだろう。

 この境目は極めて曖昧ではあるが、必要性のある人物という点で見ると治療はごく限られた一部の人を対象として、医師や医療従事者が対応するもので、予防は病を患っている人もそうでない人も必要であり、医療者が医療行為によってのみ行うものではなく、幅広い職種が対応する。

健常と障害の境目とは?

 では、健常と障害(あるいは健常と病)の差はどうだろうか。

 これは限りなく本人や周囲の主観に依る部分が大きいのではないかと考える。

 一般的に車いすユーザーは障害者であるが、バリアフリーの環境で生きて、歩けなくても満足に人生を謳歌していたとしたらそれは障害ではないかもしれない。

 車いすテニスの国枝選手なんかは車いすではあるが、障害者とは到底言えないのではないだろうか。(本人に聞いてないので勝手な想像ではあるが…)

 また、心身共に健康だったとしても妊婦は生活に支障を来しているし、ワーキングプアと呼ばれる状況にある方は生活が大変という意味において障害者かもしれない。

 つまり、自分が自分をどのように捉えているかによって違う。

 ボクの整体サロンに来るクライアントは全員自称健常者であるが、肩や腰を痛めていたり、若干病んでいたりする人も居る。で、ボクが提供している施術は予防を目的とするものだが、腰痛やその他痛みが解消されることもあるし、うつ気味の方が元気になることもある。

障害者の困難を解決する行いは治療となるか?

 さて、ここで再度、セラピストによる保険外診療(自由診療)について考えてみよう。

 ボクは健常者であっても障害者であっても予防は必要だと思うし、脳卒中後の片麻痺者で少しの歩きにくさを持ちながらも介護保険の申請をせずイキイキと生活されている方もいらっしゃる。

 病気であるとか、障害であるとかは本人の主観の問題であるから、やはり予防的関わりであれば理学療法士、作業療法士と名乗って予防的に関わるのであれば良いだろう。

 では、脳卒中後片麻痺のクライアントが居たとしよう。その歩行は明らかに危険で、いつ転倒してもおかしくない。しかし、室内では毎日家族の目を盗んで歩いている。

 こういうケースで歩行を安定する関わりをした場合はどうだろうか。

 転倒予防であり、歩行能力の改善という意味合いでは治療である。

 これは難しいところだ。理学療法士・作業療法士の専門性を活かして転倒予防の指導をしたらそれが治療になってしまった。

問題はメッセージだろう

 問題はボク達がどのように関わるかだ。

 あくまで予防目的で介入するのであれば問題無いと思う。その人が病気か(あるいは障害者)かどうかは主観に基づくから、本人が今後の人生をより健康に生きたいと思って、予防目的で専門家の介入を望み、それを提供しているのであれば大丈夫だろう。

 しかし、現在リハビリ(治療)を継続的に受けていて、プラスαの介入を目的に来たクライアントはどうだろうか。それは駄目だ。クライアントは治療を目的にしている。

 治療は「医師の指示の下」でなければいけない。

 現在トレーナー達はこぞって介護予防事業に参入しようと取り組んでいる。予防事業であれば医師の指示を必要としない。

 つまり、ボク達がどういう立場でクライアントと関わるかというメッセージを明確とすることだろう。

 「私が提供するのは予防的介入です」「治療を目的とする関わりはありません」「リハビリではありません」という明確なメッセージを伝えているかどうかが重要だろう。

 現在、保険外診療(自由診療)で開業している人たちの多くが「リハビリテーション」を謳い、「改善」を目的としている旨が書かれている。これでは違法だと言われても仕方がない。

 もし、脳卒中後片麻痺などのクライアントに対して介入したいのであれば立場を明確とするメッセージを用いるべきである。

まとめ

 予防と治療の境目は曖昧であり、健常者と障害者の境目は主観的である。

 このような状態で、合法的に開業するためには、合法的なメッセージを用いる必要がある。

 法の抜け道はありうる。解釈によって行動は変わるからだ。自らの行いを合法的なものと証明したいのであればメッセージが重要である。

 あからさまな違法行為は許されるものではないが、開業したい人は解釈可能なレベルでメッセージを作り、開業すべきである。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします