評価と治療

理学・作業療法士が知っておきたい「疼痛(痛み)」の事

 痛みを訴える患者と出会ったことが無いセラピストはいないだろう。精神科の作業療法士であっても痛みを訴えられたことはあるはずだ。

 物理的要因がある痛みであれば、医学的対処法が効果的ではあるものの、その効果の程度や、改善率は人それぞれである。

 また、物理的要因が全く見当たらない痛みもある。

 骨折後の患者で、損傷部位は完全治癒してるにも関わらず痛かったり、損傷部位と違う部位が痛かったり…。その際たる例が幻肢痛かもしれない。その手や足が無いのに痛い。これはどういうことなのだろうか。

 今回は、そんな痛みについて考えてみたので共有したいと思う。

痛みは物理的要因だけで起こるわけではない…

 擦りむいたら痛いし、刃物で切ったら痛い。これは物理的要因による痛みである。

 しかし、こういう物理的要因が起こっているにも関わらず痛みを感じないケースもある。

 骨折した手でホームランを打ったプロ野球選手がいるのをご存知だろうか。大阪在住の方の大半はご存知だろう。元プロ野球選手の金本選手だ。彼は後に骨折と診断される手で交代すること無く試合に出続け、それどころかその手でホームランを打ったのだ。

 インパクトの瞬間は流石に痛かっただろうが、彼は『試合に出られるレベルの損傷』であるという認識だったのだろう。

 これくらいの痛みなら大丈夫だと。

 でも、試合が終わった後には急激に痛んだはずである。試合後、受診し骨折と診断された彼は「あ、やっぱり…。」と思っただろう。苦笑

 だが、そういう事象は何故起こるのだろうか。

 『痛み』は思考によってその度合をコントロールされているのである。つまり、痛みは物理的要因だけで起こっているわけではないということが分かってくる。

物理的要因以外の痛みとは?

 日本における腰痛の原因において物理的要因(骨折や捻挫、脱臼、神経圧迫などなど眼で見て分かる範囲で原因が特定できる痛み)は15%程度であると言われている。

 つまり、残りの85%の腰痛の原因は不明なのである。これは認知レベルの要因だったり、情動レベルの要因で痛みが起こっているからである。

 これはボクにも経験がある。

 うちの整体院の施術は痛いことで有名だ。笑

 でも、痛がり方はコリ具合や、症状の程度と比例しない。

 メチャメチャ凝っていて、この人痛いだろうなぁと思っても『気持ちいい』と表現する人もいれば、大したコリでなく早く治るだろうなと感じる人がとても痛いと叫ぶケースもある。

 もはや意味不明だ。しかし、痛みというのは、そういう曖昧なものなのである。

 その人の正確や、痛みを感じるようになった理由、痛みに関する学習の程度などなど物理的要因の関与しない理由が意外と沢山あったりするのである。

認知レベル、情動レベルの痛みに対する対処とは??

 『気のせいですよ』『気がするだけですよ』『状態だけ見たらそんなはずないですよ』

 言ったことはないだろうか?

 これは一番行けない対応だと思う。だって患者は痛いのだ。痛い理由があるとかないとか関係なく痛いのだ。それを否定するセラピスト。

 文字にして客観的に見てみて欲しい。

 ダメでしょう。笑

 そう、そのダメな対応を往々にしてセラピストは行っている。まずはこの患者の痛みを理解しない対応はやめておこう。

 でだ。大切なのはその後である。

 認知レベル、情動レベルの痛みに対してどのように対応すれば良いだろうか。

 認知神経リハビリテーションだったり、認知行動療法が有効な手段となってくるだろう。

 『NHKスペシャルでの腰痛治療についての番組を見た感想』で書いたことはそういう話だったと思う。

 また、カウンセリングやコーチングもこういう痛み改善には有効だ。

 つまり、セラピストは様々な治療法を認知レベル・情動レベルの痛みにアプローチするが、カウンセリング・コーチングのレベルが低ければ恐らく治療効果は出ないだろう。

 痛みへのアプローチは、患者とセラピストとの信頼関係が重要である。で、これを築くためにも必要なのがカウンセリングやコーチングの技術である。

まとめ

 物理的要因の明確な痛みに対して効果を上げられないセラピストは失格だ。効果を上げられていないとするならば勉強して欲しい。

 認知レベル・情動レベルの痛みに対して必要なのは治療ではない。

 理解である。

 理解とは、患者自身の理解とセラピストの理解両方だ。

 患者は自分の痛みに対して理解しなければならないし、セラピストは患者が本当に痛んでいるということを理解しなければならない。

 そこに必要なのがカウンセリング・コーチングの技術だ。

 もし、あなたが難治性の疼痛を持つ患者に悩んでいるなら自分の関わり方を見直してみて欲しい。

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