予防医学

理学・作業療法士が携わるべき「予防」をICFから考える!

 理学療法士・作業療法士はICFに則って仕事をする。

 だから、予防に取り組むべきだとボクは思っている。

 だが、介護予防のように『事後』の予防だけでは不十分なのではないだろうか。

 事後と表現したのは『要支援者』が既に何らかの問題を抱えているからではない。

 『加齢=老い』という認識がある時点で既に予防が出来ていないということである。

 これは、単に現状のヘルスケアブームを推薦したいがための発言ではない。『加齢=レベルアップ』と捉えて、我々が支援する事こそ本来の予防なのではないかと考えるからだ。

 今回は、そんなボクの考える理学療法士・作業療法士が携わるべき予防について考察したいと思う。

ICFから見る予防

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 上の図は御存知の通り、ICFを端的に表した図である。

 我々の仕事は主に『活動』や『参加』に焦点が当てられ、その為に必要な『心身機能・構造』や『環境因子』『個人因子』にアプローチしたり、『活動』や『参加』へ直接アプローチしたりする。

 これらに対してアプローチすることで『健康』な状態を目指すのだ。もちろん、健康な状態をQOLの向上と捉えてもいいだろう。

 WHOは健康について、以下のように定義している。

 Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

 これを日本WHO協会は次のように訳している。

 健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。

 まさにQOLが満たされている事こそ健康であると言える。

 じゃあ、健康を害している人って??

 世の中の大半がそうではないだろうか?あなたが今何らかの目標に向かって努力しているとしたらそれは何故だろうか?

 何かしらの悩みや不満を解消するために頑張っているのだろう。すると、あなたはある意味満たされていない何かを持っていることになり、WHOの定める健康の定義から外れていることになる。

 つまり、ICFの観点から予防を捉えると、疾患や障害という指標には当てはまらないし、検査などの数字にもリスクは感じられないが健康ではない方が、健康になるための活動と言えるのである。

 そして、我々はICFの考え方に則れば健康ではない方が健康になるための支援も仕事になってしかるべきだとボクは考えている。

しかし、法律は認めていない?

 日本の『理学療法士及び作業療法士法』の二条にて理学療法及び作業療法は以下のように定義されている。

 この法律で「理学療法」とは、身体に障害のある者に対し、主としてその基本的動作能力の回復を図るため、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、マツサージ、温熱その他の物理的手段を加えることをいう。
 この法律で「作業療法」とは、身体又は精神に障害のある者に対し、主としてその応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るため、手芸、工作その他の作業を行なわせることをいう。

 障害者に対するアプローチのみを理学療法・作業療法としているのだ。

 『理学療法士・作業療法士(PT/OT)が開業することについて今後の課題』で書いたが、以下のような通達が厚生労働省医政局から出されている。

 理学療法士が、介護予防事業等において、身体に障害のない者に対して、転倒防止の指 導等の診療の補助に該当しない範囲の業務を行うことがあるが、このように理学療法以外 の業務を行う時であっても、「理学療法士」という名称を使用することは何ら問題がないこ と。また、このような診療の補助に該当しない範囲の業務を行う時は、医師の指示は不要 であること。

 理学療法士に関しては名称の使用はOKというのが現状である。理学療法士や作業療法士がアプローチしていても、相手が障害者でなく、診療の補助でなければそれは理学療法でも作業療法でもないという見解の裏返しだろう。

現状では解釈でどうとでもできる

 ICFから見ると、理学療法士や作業療法士は多くの方々に関われる職種だと分かって頂けると思う。

 しかし、法律はそれを認めていない。

 ただし、介護予防「等」を個人が広く解釈し理学療法士と名乗って仕事をすることはできる。(※作業療法士も多分大丈夫だと思うが不明)

 あなたはどんな介護予防「等」を考えるだろう。

 カウンセリングやコーチングも予防だし、ボクのように整体院を開くのも予防だし、サプリメント会社などを起こすのも予防だ。

 ボク達は理学療法士・作業療法士として、現状ではどのような形ででも予防に貢献することができるだろう。

 けど、『今後の理学療法士・作業療法士業界の課題とは一体何なのか?』でも書いたように、我々が抱えている課題は社会的地位の低さからくる認知度の低さである。

 法律を変え、我々が予防分野、ヘルスケア分野に参入し社会へ貢献する事こそスマートな方法ではないかと思う。

まとめ

 ICFというのは本当に優れたモデルだなぁと思う。

 ボクが学生時代の頃はICIDH-2として草稿されていて、卒業前後でICFとして発表された。

 ICIDHの日本語訳は国際障害分類であり、まさに障害を見て、障害へアプローチする考えが色濃かった。ましてや予防だったり、ヘルスケアなんていう考え方は一切なかったと思う。

 しかし、ICFが我々の思考をかなりストレッチしてくれた。

 ICFが当たり前の若いセラピストはその柔軟さを活かして、どんどん我々の職域を広げる努力をして欲しいと思う。

 あなたは、どのようにICFを捉えるだろうか。

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