雑記
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理学療法士・作業療法士が東洋医学を学ぶ危険性について

 最近、理学療法士・作業療法士向けの東洋医学的治療法を伝えるセミナーが流行っているようだ。

 多くの理学療法士・作業療法士が自分たちの現状に満足していない証拠だろう。

 そして、東洋医学的見地を持つというのは非常に重要な事だから、それらを学ぶ事については大いに喜ばしいことだと思っている。何を隠そう、ボクも一時期どっぷりとハマって勉強し、今でも一部その知識や技術は役立っている面もある。

 しかし、それらを学ぶ上で知っておいた方が良い事があるのだが、多くの方がそれを知らずに学びに行っているとしたら非常に危険だなぁという思いがあったのでブログにまとめておきたいと思う。

セラピストの治療のベースはエビデンスであるべきだ

 東洋医学系治療技術やその他周辺知識・技術においてエビデンスが明確である治療法は実は殆ど無い。

 日本では国家資格として明確な地位を築いている代替医療の中心的存在とも言える鍼治療がある。

 その鍼治療も「いくつかのタイプの吐き気、痛み」に対して効果がある可能性が示唆されているものの、他の疾患や症状に対してはプラセボ効果として処理できるレベルの効果しか上げていなかったり、プラセボ効果でない証明がされていないのが現状である。

 ボク達はエビデンスベースで評価・治療に当たるべきであるし、各種代替医療のエビデンスには注意深く知ろうとする必要がある。

 もちろん、現時点で効果ありとされている治療法も5年後、10年後どうなっているかわからないし、現状効果ありとされている治療法も5年後、10年後には効果なしとされているケースもある。

 だから、完璧なエビデンスなどはないのだが、せめて現状どうなっているかは知っておいてほしい。

エビデンスのない代替療法

 東洋医学系治療法を始めとする代替療法の多くにエビデンスはない。

 以下の書籍は多くの代替療法についてその懐疑性を指摘している。

代替医療のトリック

代替医療のトリック

  • 作者: サイモンシン,エツァートエルンスト,Simon Singh,Edzard Ernst,青木薫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01
  • メディア: 単行本
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 また、以下の書籍では代替医療がいかにも効果的であるというデータを作り出すその仕組について指摘している。

「ニセ医学」に騙されないために   危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!

 エビデンスが無いことが問題なのではない。エビデンスがあるかのようにデータを捏造したりするのはもはや詐欺である。

 もちろん、エビデンスを取ることが不可能な場合もあるだろう。研究には倫理的な規制があり研究しきれないものもあるからだ。

 そういった場合にはどういう理由でエビデンスが無いのか、エビデンスはないが治療効果を上げる根拠はどういったものなのか?という部分についてはしっかりと見極めるようにしてほしい。

基本はエビデンスベースだが、そうならない事もある

 倫理に反する研究をしなければエビデンスがとれない、研究の絶対数が足らずエビデンスが明確でない。そういう事は多々ある。

 また、同じ効果が証明されている治療法Aを選択すべきか、治療法Bを選択すべきか?については患者によりけり、状況によりけりという判断が必要になり、一概にAが良いとか悪いとか言えない場合は多々あるだろう。

 ボク達は基本エビデンスベースに評価・治療を進めなければいけないが、そうでない部分も多々あることをわかっておかなければならない。

 その時大切なのがクライアントベースという考え方である。

 我々の仕事はクライアントありきである。そして、そのクライアントが望む未来というのは十人十色だ。

 そのクライアント無くして評価・治療は行えない。クライアントがよりハッピーになる選択を我々はしなければならない。

 その上であれば、もしかしたら東洋医学的知識も1つの選択肢として持っておけばクライアントにとってはメリットかもしれない。

 自分の引き出しを増やすためのセミナー参加であれば問題ないが、信者になって他を受け付けなくなると問題だ。(最近、信者が続出しているという風の便りが聞こえてきたので念のため。)

 エビデンスはないが、この患者には有効だという根拠をもった選択であれば良いが、盲目的にエビデンスのない治療法を選択するのは非常に危険である。

 セラピスト各人においては肝に銘じておいてほしい。

まとめ

 気の流れ、経絡、波動、チャクラ…。この辺りに関しては最初から無視しても良いくらいまともなものは無い。

 オステオパシー、カイロプラクティック、鍼灸治療、ヨガ、ピラティス…。この辺りに関しては学ぶのは良いが、その利用に関しては注意しなければいけない。

 セミナー受講は結構なことだが、その根拠については注意深く知る必要がある。

 セミナーを受けた後で、エビデンスなんて全くないし、提示されていたデータは科学的とは言えないということが分かったとしよう。でも、残念がる必要はない。

 エビデンスがないし、科学的でないということが分かったことに意味がある。

 だから、色んな事を知ろうとすることはやめないでほしい。ただ、注意して参加するよう心がけて頂きたい次第だ。

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