評価と治療

脳卒中患者の寝返りは麻痺側は下か上かどちらにすべきか?

 脳卒中後患者のリハビリテーションに従事している人は少なく無いだろう。何故なら患者数が多いからだ。

 死者数で見ても、1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位が脳卒中(あるいは4位の肺炎の前後する)という風になっている。

 それくらいポピュラー且つ重大な疾患であり、ボク達が関わるべき疾患である。

 そんな脳卒中後のリハビリテーションにおいて、臥位から坐位への登竜門である寝返りに対してアプローチしたことないという人は居ないだろう。かなりレベルの高い脳卒中後の患者しか診たことのない学生くらいのものだろう。いや、学生でもアプローチしたことない人を探す法が難しいかもしれない。

 その寝返りだが、まず目指すべきは側臥位である。その側臥位になる際、あなたは麻痺側を上にすべきか?下にすべきか?という命題にぶち当たったことはないだろうか?

 そして、あなたはどちらを選択しているだろうか?その明確な基準はあるだろうか?

 ボクが今まで出会ったセラピストの中でこの明確な違いの基準を説明してくれた人はいない。

 なので、ボクが素人ではあるが解説してみたいと思う。

日常生活に即した動作の獲得を目指す場合

 側臥位の後、起き上がり、坐位、立ち上がり、立位という患者にとって最初の第一歩が寝返りであり、側臥位である。

 そして、その動作を獲得する上で効率的な方向は麻痺側が下にした時なのだ。

 非麻痺側が上に来た場合、その流暢な動作で麻痺側を無視したままでも起き上がりができてしまう場合がある。

 高齢で非麻痺側の筋力が低下している場合においてもこれは変わらない。麻痺側を上にするより簡単にできる。

 この際のリスクはないか? もちろん、ある。

 脳卒中後の患者は往々にして肩関節を固定しきれず亜脱臼していることがある。その際、無闇矢鱈に麻痺側を下にして側臥位にしてしまうと痛みが発生したり、下手したら脱臼を促すことになる。これでは本末転倒である。

 では、どうすれば良いか。そういう不安がある場合、まず肩関節の支持性を高めるトレーニングを行う必要がある。または、肩関節(特に肩峰)を徒手的に支持する事が必須である。

 そのリスク管理さえできていれば麻痺側を下にするというのが動作を促すためには効率的である。

麻痺側を上にする場合とは?

 では、どのような場合に麻痺側を上にするだろうか。

 前述のような亜脱臼の恐れがあり、徒手的な支持では追いつかない場合は麻痺側を上にする必要がある。(が、覚えておいてほしいがこれをできないのは患者ではなく、セラピストの技量不足だ。)

 その他はどのような場合か?

 それは、麻痺側の運動を促通したいなど治療的な意味合いを持つときである。もちろんここでいう治療とは坐位以降、立ち上がりや歩行などを促通したい場合の話である。

 例えば歩行時、麻痺側に体幹が崩れ不安定になっている患者はよく見るだろう。

 この際の体幹の安定性を得るために、より支持基底面の広い側臥位でその支持性を高めるというトレーニングが必要な場合もある。

 その際は麻痺側を上にして側臥位から起き上がりのトレーニングをするかもしれない。(この具体的内容もブログでは書きにくいことを理解して頂きたい。)

まとめ

 このように目指すべきゴールによって、麻痺側を上にすべきか、下にすべきかは明確に違う。

 いやいや、ボクの患者は麻痺側を上にした方が上手に起き上がりをするよ!という人もいるかもしれない。

 もちろん、そういう場合もあるだろう。だが、ここで言っている話はあくまで一般的な脳卒中後患者の話である。

 でもね。気付いてほしい。非麻痺側が上の側臥位の方が基本的には起き上がりやすいよ。それが下手な場合、残念だがセラピストの促通が下手くそなんだよ。

 あなたの患者にとってベストな選択をしていってほしいと思う。

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