評価と治療

理学療法士・作業療法士の為の姿勢分析の必要性について

 姿勢分析をしないセラピストは殆どいないだろう。しかし、上手く姿勢分析を使えているか?と考えると首を捻らざるをえない。

 ボクは作業療法士として働き出してから今に至るまで10年以上『姿勢』に対して向き合ってきた。

 そして、姿勢から見えるものは沢山あることに気付いた。

 また、姿勢が変わることで、運動が変わり、行動が変わり、人生が変わった人も沢山見てきた。

 決して姿勢に固執しているわけではない。

 だが、多くのセラピストが『姿勢分析』を軽視しているように思えてならない。

 そこで今回はセラピストにとって姿勢分析がいかに大切なものかということをお伝えしたいと思う。

そもそも姿勢分析とは?

 姿勢分析とは何か?あなたは説明できるだろうか。

 ここではボクの姿勢分析に対しての考え方について定義しておく。

 姿勢分析とは、姿勢の状態を把握し、姿勢が起因した心身に起こっている問題を知ること。また逆に、心身に起こっている問題を姿勢から察知し調べること。

 以上が、ボクの考える姿勢分析の定義である。

 そして、ボクはこの姿勢分析3つのステップで行うようにしている。以下に説明する。

ステップ1:状態把握

 まずは姿勢がどのような状態であるかの把握を行う。

 この際、ROMや筋力を把握しようとする人もいるかもしれないがここではまだ必要ではない。

 全体を見る必要がある。

 頭の先から、足の先まで現状がどのような状態かを把握する必要があるのだ。もちろん、立位・坐位問わず全ての状態を把握すべきだ。

 具体的には私は写真を撮るようにしている。

 人間には厳密な『静止』という状況はない。だから静止画は厳密な把握方法にはならない。だが、現状を大まかに把握するには十分である。

 動画の方がいいかもしれないし、重心測定装置なども利用できればその方が良いかもしれない。しかし、これらは現実的ではない。臨床の場においてはここまでできないのが現状だ。

 しかし、写真程度では把握してもらいたい。

 最後に注意点だが、現状を把握するためには基準となる姿勢を知って置かなければならないことは言うまでもない。ご自身で基準となる姿勢の把握が不十分だと思われる方は解剖学の教科書を引っ張り出してきてほしい。

ステップ2:原因分析

 その次は何故そのような姿勢になっているのか?を分析することだ。

 何故重心が左に寄っているのか?何故猫背なのか?

 その理由を考える。もちろん、この時点で特定はできない。が思いつく限り考えるのだ。

 その経験の積み重ねにより、より高い精度での分析が可能となってくる。

ステップ3:その姿勢がその人の人生に与える影響を分析する

 〇〇という原因で起こっている、問題のある姿勢は、その人の人生においてどのような影響を与えるだろうか?という事を考える作業だ。

 もし影響がないのであればアプローチする必要性は消える。

 しかしまぁ、姿勢に何らかの問題がある場合、人生に与える影響は少なからずある。

 まず姿勢が悪くなると、筋肉の活動が正常には行われなく。つまり筋肉の活動性が低下するのだ。すると、血流は悪くなり、細胞の栄養不足状態を引き起こす。

 代謝も悪くなり、免疫力も下がる。低体温も招き、冷えからくる体調不良なども起こるだろう。

 肩こり、腰痛だけが姿勢の悪さからくる不調ではないのだ。

 その人の姿勢と、その人の抱える不調や生きづらさを関連付けて考えるのがこのタイミングですることである。

姿勢分析の必要性

 さて、姿勢分析というものがどういうものなのかはお分かり頂けたのではないだろうか。

 では、この姿勢分析は理学療法や作業療法の場面でなぜ必要なのだろうか。

 答えは簡単である。姿勢を変えることで、その人の人生を変えることができると言っても過言ではないからである。

 また、姿勢を分析しアプローチすることで、その人を別の病気や障害から予防することにもつながる。

 8年以上回復期リハビリテーション病院で勤務した経験のあるボクの後輩に質問したところ、自身や周囲の先輩方に姿勢分析をしっかりしている人間はいなかったとのことだ。

 もちろん、脳卒中後の特徴的肢位やその評価・治療を行ったは居ただろうが、ここでお伝えしているように姿勢を包括的に捉えることができる人間はいなかったとのことだった。

まとめ

 ボクの経営するサロンに昨日訪れた常連のお客様の話をしよう。

 彼女は先日、当日に日程変更した。私の店に予約をしていたことを忘れていたからだ。

 非常に申し訳なさそうに入ってきて、お菓子を持ってきてくれた。ボクからしたらそこまで気を使わなくても良いのに…。と逆に恐縮だったが、彼女は本当に申し訳ないと思っていたのだろう。

 すると、どうか。もう2年ほど通っている彼女の姿勢は普段大幅に乱れることはないのだが、昨日は実に落ち込んだ姿勢になっていた。腹筋に力が入らず猫背になり、重心位置も定まらず片方に偏っていた。

 思わず笑ってしまうくらい、精神状態が姿勢に現れていた瞬間だった。

 ボクは健常者だろうと、障害のある人も(いや、障害のある方が特に)状態を測るのに姿勢分析ほど適したものはないだろうと考えている。

 その姿勢分析なくして、動作分析も理学療法・作業療法もありえないのではないだろうか。

 今後、全てのセラピストの姿勢分析能力が上げるために尽力していきたいと思う。

P.S…それでも苦手な方へ

 それでも姿勢分析が苦手な方の為にもう少し具体的にポイントをまとめてみた。

参考エントリー:姿勢分析が苦手な理学・作業療法士の為の姿勢評価のポイント

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