評価と治療
thumbnail

脳卒中後の急性期理学療法・作業療法の役割と課題について

 脳卒中後の急性期リハビリテーションにおける我々の役割とは何だろうか?

 ボクは脳卒中後の特に急性期のリハビリテーションに携わったのは、専門学校2年生の実習時2週間だけだ。

 だが、そんなボクでも現状の脳卒中後のリハビリテーションに問題を感じるのだ。

 今回は、脳卒中後の急性期リハビリテーションの問題とその問題を引き起こしている原因についてシェアしたいと思う。

あなたは脳卒中急性期の患者にまず何を提供するか?

 多くの場合急性期で数週間、その後回復期の病院で数ヶ月を脳卒中後の患者は過ごすことになるだろう。

 そして、その後自宅へ帰る、老人保健施設へ行く、また別の病院へ行くなどの顛末がある。その最初の大切な時期に関わるのが急性期のリハビリテーションである。

 この大切な時期に、あなたはどのように患者に関わるだろうか。

 まずは座って、手が使えるように?

 それとも早速歩いてもらう?

 色々あるでしょう。しかし、それらは根本的に間違っていると言って良いでしょう。

 脳卒中後の片麻痺という状態は、半身の運動学習がゼロベースに戻った事を意味する。つまり、患者にとっては生きていることが不安定になっている状態だ。プールに浮いたビート板の上で寝ているようなものなのだ。

 そんな患者に対して、座らせようとしているとしよう。筋緊張がどんどん高まり、連合反応を誘発し、ウェルニッケマン肢位に誘導している事になっていると言われてあなたは否定できるだろうか。

 実は脳卒中患者のいわゆる障害は、セラピストが作っている可能性があるのだ。

本来の急性期リハビリテーションの役割

 では、本来はどうあるべきなのか?

 それは人間発達の順序に合わせて、頸部の回旋、腹部の緊張性アップ、体幹の回旋、寝返り、起き上がりと順を追って運動を再学習してもらうことが大事なのだ。

 だが、筋緊張を異常に亢進しようが座れた方が良いという意見もあるだろう。

 もちろん、患者や家族が望むのであればその意見も間違いではない。が、その上でそうすることのリスクについては患者や家族は理解しているのだろうか。インフォームドコンセントの上での治療選択であれば問題はない。しかし、多くの場合「そういうもんだから…」で終わってないだろうか。今一度ご自身の態度を見なおしてみてほしい。

しかし、その裏には社会的問題も…

 そもそも一人の患者が、なぜ次々と病院を変えなければならないのだろうか。

 患者や家族のことを考えれば、家から近いちゃんとしたリハビリを受けられる病院にずっと入院できることではないだろうか。また、自分

 しかし、現状の日本の制度はそのようにできていない。

 国はできるだけ安く上げるように、病院はできるだけ稼げるようにできている。これは資本主義国家である以上仕方のない事だが、この国で病気にはなりたくないとつくづく思う。

 例えば3年みっちり同じ患者と関わることができればあなたはその患者を大きく変化させることができるのではないだろうか。

 だが、日本の現状においてはそれを(制度上)可能にはしていないのだ。

現状の問題に対する対策とは?

 自費でリハビリを受けるという文化はまだまだ日本には根付いていない。そもそもリハビリなんてものは病気や怪我をしてからの話であり、健康な時にそのようなワードを聞くことは殆ど無いだろう。

 しかし、病院と連携して自費でリハビリを請け負うセラピストがいたとしたら、発症後から慢性期まで通じて一人の担当者が一人の患者に対して、慢性期を見据えたアプローチを急性期から行うことができるようになるのではないだろうか。

 もちろん、自費である以上現状では受けられる人は限られるかもしれない。だったら、理学療法士・作業療法士協会に新たなビジネスのヒントが降りてくるとは思わないだろうか?

 リハビリ保険だ。医師からリハビリが必要だと処方が出たら、最大〇〇万円までリハビリを受けることができる保険を作ればいい。より良質で、制度の問題に囚われないリハビリを受けたい人や、受けさせたい人がこの保険を普及すれば、自費リハビリという概念も浸透していくのではないだろうか。(まぁ、もちろん簡単なものではないが。)

 ボクはこの問題に対しては、自費リハビリの一般化という対策が一番手っ取り早いと思っている。

まとめ

 脳卒中直後の患者は非常に不安定になっている。もちろん精神的にもだが、それ以上に身体が不安定になっているのだ。

 麻痺側に力が入らない。今までの要領で動けない。何故だ?何故だ?? そのような身体に対して我々は位置から運動というものを教えていかなければならない。

 先ほどは頸部回旋→坐位までの例を示したが、これは目の動きや口・舌の動きも同様である。一から教えていく必要がある。

 現在の制度上では難しいかもしれないが、極力患者にとってメリットの高い急性期リハビリテーションを提供してほしいと切に願う。

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします