評価と治療

理学・作業療法士が筋力トレーニングを提供する際のポイント

 あなたの過去の治療計画や報告書の中に何度筋力トレーニングという文字を使っただろうか?

 精神科領域に務める作業療法士でさえ多用する治療項目の1つであると言えるだろう。まさか、一度も使ったことはないなんてセラピストはいないだろう。

 それくらいポピュラーで、且つ問題点としてわかりやすいのが『筋力低下』である。

 最近では脳卒中後遺症の片麻痺患者の問題点も筋力低下であり、筋力トレーニングが必要であると言われている。(※もちろん、筋緊張を過剰に高めず行う必要があるが。)

 その筋力トレーニングを提供する際、あなたは何に注意し、何を思い、提供しているだろうか?

 今回はセラピストが患者に筋力トレーニングを提供する際に考えなければならないポイントについてまとめたいと思う。

筋収縮の種類について

 まず考えなければならないのが、筋収縮の種類である。

 筋収縮には3つの種類があるのを覚えているだろうか?その3つとは以下の通り。

  1. 求心性収縮
  2. 遠心性収縮
  3. 等尺性収縮

 何とも当たり前の話をしてしまったが、これらを考えずに筋力トレーニングを提供してしまっているケースを多々見受ける。

 例えば、歩行困難な患者がいたとしよう。立脚後期の問題であれば、求心性の収縮と遠心性の収縮の協調性が困難なことが多いわけだが、この際の筋力トレーニングは求心性と遠心性の協調性を取れるように筋力トレーニングを提供しなければならないことになる。

 スクーピング(スプーンですくう動作)が困難な場合はどうか?口へ運ぶ際の動作が困難な場合はどうか?

 患者の問題とする動作がどのような筋収縮で成り立っているかを分析し、それに応じたトレーニングを提供しなければならない。

必要とする動作の中でのトレーニング

 その患者の目標は何なのか?

 車いす自立?歩行自立?人によって様々だろう。

 人によって様々だから、必要とする筋収縮も様々であるというのは先に述べたとおりである。

 しかし、同じ求心性の収縮のトレーニングが必要な患者も目標によってトレーニングの方法は異なるはずである。

 車いす自立を目指す患者と歩行自立を目指す患者では実際に筋収縮を必要とするシーンが違うからである。

 シーンが違えば何が違うか?一番違うのは重力の影響だろう。臥位で行う筋収縮と坐位で行う筋収縮では難易度が変わってくる。

 また、シーンが違えば邪魔になる刺激も違ってくる。歩行自立を目指す患者の方がより困難なシーンで筋力を発揮しなければならない。

 筋力トレーニングはより患者が行うシーンで行うことを考えなければならない。

グレーディングについて

 歩行自立を目指す患者だからといって、現在の能力で通常歩行シーンでの筋力トレーニングが困難な患者に対して必要とする動作の中でのトレーニングを強いるのはリスク管理という視点から見るとダメなトレーニングだ。

 我々が一番気にしなければならない視点がリスク管理だからだ。

 安全な環境→ちょっとチャレンジする環境→危険な環境という順序でトレーニングを提供するという視点は忘れてはいけない。

 また、脳卒中後遺症の患者に対しては歩行に至るまでの動作、頸部・体幹の回旋→寝返り→起き上がり→坐位→立ち上がり→立位という順序も忘れてわいけない。

 歩行自立を目指す場合でも、その順序での筋収縮が発揮できていない場合、歩行シーンでの筋力トレーニングは非常に困難なものとなるだろう。

 運動学習という視点を持ち、どのタイミングでの筋力トレーニングから始めるべきか?は重要な視点となるだろう。

まとめ

 いかがだっただろうか?

 感覚的には理解されているセラピストは多いと思うが、多くがベッド上トレーニングをしてしまっている人が多かったのではないか?

 もちろん、上述のようにベッド上での筋力トレーニングが必要なタイミングもある。

 が、そのトレーニングは本当にベッド上で行うべきなのか?それとも、別の姿勢、別の環境で行うべきなのか今一度見直してみてほしい。

 患者にとってベストなトレーニング環境・トレーニング方法を選択できてこそ、これからのセラピスト淘汰時代を生き残るセラピストになる条件となってくるだろう。

筋トレ提供する前に知っておくべきこと

 筋トレ提供するなら、筋肉博士になっておく必要がある。

 良かったら合わせて読んでみて欲しい。

参考エントリー:理学・作業療法の基礎!筋肉を学ぶ為のオススメ書籍とアプリ

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