評価と治療

ROM-ex(関節可動域訓練)の能力を高めることは非常に重要だ!

 理学療法士にしても作業療法士にしてもROM-ex.(関節可動域訓練)を行ったことのない人は居ないだろうと思う。

 特に学生や、新人さんはこの徒手療法に対する技術を向上したいと思っている人が多いと思う。いや、若い人だけではないかもしれない。

 ボバースのコースなどの『治療技術・手法』を学ぶ為の研修会の参加者は年齢問わず多く参加しているのが現状だ。

 それに対し、理学療法や作業療法は技術じゃない!手法じゃない!という意見もあるように思う。

 技術よりも評価とか、治療は技術の発表ではなく参加を促すことだという意見だ。これも分かる。治療を行う上で評価は重要だし、徒手療法の技術だけでクライアントのQOLは上げられない。

 でだ。ここで言いたいのはそういった意見も踏まえた上で、ボクは徒手療法、特にROM-ex.の技術を高めることは非常に重要であるということである。

基本に忠実に、且つ追求する心

 スポーツの世界では基本が重要である。野球ならキャッチボールと素振り、バスケットボールならドリブル・レイアップ・ジャンプシュート、サッカーなら…パスとかかな?

 これら基本ができていない場合、試合で高度なパフォーマンスを発揮することができない。

 そして、選手は試合に勝つという結果を得るためにキャッチボールやレイアップシュートを深く追求し、その真髄を学び取る必要があるのだ。

 で、この考えをリハビリテーションに置き換えてみたいと思う。

 試合での勝利とは、クライアントのQOLの向上であるとしよう。そして、我々にとってのキャッチボールとは(特に身体障害者領域において)ROM-ex.なのだ。

障害の捉え方を変えてみる

 例えば脳血管疾患後の片麻痺の状態を捉え直してみよう。

 健常者と比べて、全身(特に半身)の関節可動域が制限されている状態とも置き換えることが可能であると思う。(もちろん、それだけでない事は分かったうえで少々乱暴に置き換えている。)

 片麻痺に限らず、多くの障害者が健常者に比べて、関節可動域に制限がある状態と言えるのではないだろうか。

 例えばバランスが悪いという状態があったとする。そのバランス不良は脳の何とかかんとかって理由もわかるが、関節可動域に制限があるからバランスが悪くなっていると捉えられないだろうか。

 だとしたら、その関節可動域制限を解消することにより、クライアントのQOLの向上に繋がるはずである。

 私は、間違いなく関節可動域制限の解消によってQOLを向上させると思っている。

 ホームランを打てるバッター、三振を沢山とれるピッチャーも、その基礎にキャッチボールと素振りがある。誰よりもその基本に忠実に、且つ追求した人たちが試合に勝つ為に貢献できるのだ。

 我々で言えば〇〇療法とか、〇〇法という高度なパフォーマンスを高めることも重要だが、そういった高度技術でクライアントのQOLを向上させる為にも、ROM-ex.という基本に忠実にその技術を高める必要があるというわけだ。

まずはROM-ex.を極めよう

 ボクは約10年以上作業療法士をやっているが、まともにROM-ex.を習ったことはない。これは20年選手も30年選手もはたまた新人さんも学生さんも同じではないだろうか。

 そう、基本中の基本であるROM-ex.をまともに教える人や組織が業界にないのが現状だ。

 学生の臨床実習のレポートの治療計画のスペースには、ほぼ100%、ROM-ex.と書かれているだろう。

 あなたが毎日書いているカルテにも毎日のようにROM-ex.と記載したり、あるいはチェックをしたりしているのではないだろうか。

 それほど基本中の基本であるROM-ex.を教えないのは何故だろう。理由はわからない。しかし、それではいけないことはご同意頂けると思う。

 私はまずはROM-ex.を極めるべきだということを声高に叫びたい。

手始めにやることとは?

 では、どのようにしてROM-ex.を極めればいいだろうか?

 手始めにやることだけをここではお伝えしたいと。

 それは、関節と関節可動域制限について再度、深く知ることである。

 肩関節の構造、役割、運動とそのメカニズムなどなど、解剖学的視点・運動学的視点・生理学的視点から肩関節を定義してみることだ。

 肩関節について説明しなさい。という問いに対して、自信をもってこうであると言えるレベルになることで関節については理解が深まる。

 そして、関節可動域制限。なぜ、どのように制限が起こるのか?その原因は?そして、それを取り除くためには…。

 深く追求していくことで関節可動域制限についても理解は深まる。

 そういう深い知識のもと、実践するのだ。ここはこうだから、このように動かす。ここはこうだから、このように動かしてはいけない。

 もう一度深く学びなおしてはいかがだろうか。

まとめ

 なぜ今この話題か?というと、私が予防という業界で、クライアントに対し行っている施術は、まさにこのROM-ex.なのだ。

 ROM-ex.でクライアントの姿勢を良くし、筋肉をほぐし、動きやすく快適で、疲れにくい身体作りを支援している。

 障害者=健常者+病気という簡単な式で表せるとは思っていない。しかし、健常者に対するROM-exの発揮する効果は障害者にも当てはまると思っている。

 先ほど行ったように障害者の捉え方を変えてみると、関節可動域制限が健常者と比べ著しく現れている状態と捉え直してみるとよく分かるだろう。

 様々な徒手療法・手技があるが、まずはROM-ex.という基本に戻ることが大切である。そして、ROM-ex.を追求する上で必要な情報が〇〇療法の研修や、〇〇法の勉強会で得られるのであれば参加することは大いに進めたい。

 全ての治療技術の習得はROM-ex.の追求を前提とした情報収集のためにあると思ってもいいくらいだ。

 そして、それらは自己満の世界ではない。クライアントに対し、明確な結果を残すためである。あなたが心からクライアントを大切に思い、結果を出したいと考えているのであれば、この基本に今一度立ち戻って欲しい。

追記:オススメ書籍

 ROMエクササイズを極めるために読むべき書籍をまとめたので、こちらもご参照あれ。

ROM-ex(関節可動域訓練)の極める為に読むべき3冊の本

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